令和6(2024)年度報酬改定|処遇改善加算は一本化へ!気になる方向性を解説

処遇改善加算は一本化へ!気になる方向性を解説

令和6(2024)年度の報酬改定で処遇改善加算が一本化されます。新加算の全体像や具体的な見直し案など、厚生労働省の情報を元にわかりやすく解説します。

処遇改善加算の一本化、気になる具体的な内容は?

令和6(2024)年度の報酬改定で、現行の「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」の3つが統合されることになりました。

処遇改善加算の一本化は事業者の事務負担軽減、利用者からの理解の得やすさ、そして事業者として柔軟な事業運営をしやすくする観点から実施されるもので、新加算の名称は「介護職員等処遇改善加算」が予定されています。

この記事では、令和5年11月30日開催の第233回社会保障審議会介護給付費分科会で示された新加算の全体像、職種間配分ルールや賃金改善の方法、経過措置などの具体案を解説します。

なお一本化などの詳しい背景については以下の記事をご覧ください。

▶令和6(2024)年度報酬改定|処遇改善加算はどう変わる?介護版

参考:介護人材の処遇改善等(改定の方向性)|厚生労働省

新加算「介護職員等処遇改善加算」の全体像は?

一本化後の新加算である「介護職員等処遇改善加算」は、現行の各種加算・各区分の要件や加算率を組み合わせた上でⅠ~Ⅳの4区分にする方向で検討されます

● 「介護職員等処遇改善加算」のイメージと各区分の趣旨

介護職員等処遇改善加算のイメージと各区分の趣旨

介護人材の処遇改善等(改定の方向性)P.14(厚生労働省)を元にLITALICOで作成

※ 現行のベースアップ等支援加算を取得していない事業所は、一本化に伴って増えた加算額のうち、現行のベースアップ等支援加算に相当する額の2/3以上の新たな月額賃金改善が必要

現在示されている新加算Ⅰ~Ⅳの案では、基盤となる部分に介護職員の基本的な待遇改善・ベースアップに関する内容が置かれ、さらに職場環境の改善や生産性の向上(職場環境等要件)、資格や経験に応じた昇給の仕組みの整備、経験・技能のある職員の充実度などに応じて加算率に差がつけられています。

職種間の賃金配分ルールは統一へ

新加算「介護職員等処遇改善加算」の案では職種間の配分ルールも統一され、「介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分するものの、事業所内で柔軟な配分を認める」とされています。

これにより現行加算の課題であった職種間での賃金バランスについても、事業所ごとに柔軟な運用ができるようになる見込みです。また特定処遇改善加算におけるグループごとの配分要件がなくなるため、書類なども簡素化されるでしょう。

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新加算の具体的な配分ルールはどうなる?

介護人材確保のためには、ボーナスなどの一時金ではなく「月給」の向上が重要という指摘があります。そのため新加算では「新加算(Ⅳ)の加算額の1/2以上を月額賃金の改善に充てる」という配分ルール案が出されました。

なおこれまでベースアップ等支援加算を取得していなかった事業所が新加算を取得する場合については、上記に加えて、現行のベースアップ等支援加算に相当する加算額を新たに賃金改善に充て、うち2/3相当を月額賃金の改善に使用するという案が示されています。これは今まで取得していた事業者との公平性の観点から検討されているものです。

新加算では月額賃金の改善を強く促すことで、介護職員の生活の安定・向上や労働市場での介護職の魅力拡大が期待されています。

職場環境等要件の見直しは令和7年度以降

職場環境等要件については、取り組むべき項目数を増やすことや項目内容の変更・追加が検討されていますが、時期は令和7年度以降となる見込みです。

職場環境等要件の見直し案

画像引用:介護人材の処遇改善等(改定の方向性)P.17|厚生労働省

取り組むべき項目数について

現行加算の職場環境等要件では、処遇改善加算で全体から1つ以上、特定処遇改善加算で各区分からそれぞれ1つ以上に取り組むこととされています。

新加算となる「介護職員等処遇改善加算」では、職場環境等要件の取り組み項目数を新加算Ⅲ・Ⅳで各区分からそれぞれ1つ以上(生産性向上は2つ以上)、Ⅰ・Ⅱでは各区分からそれぞれ2つ以上とする案が示されました。

項目内容の変更案について

介護人材の確保に向けて、生産性向上および経営の協働化についての項目を中心に以下のような見直し案が示されています。

● 生産性向上のための業務改善の取り組み

厚生労働省が示している「介護サービス事業における生産性向上ガイドライン」に基づく業務改善体制の構築/課題の見える化/介護ソフトやスマートフォンなどのデバイス、インカムなどの導入/介護ロボットなどの導入/各種委員会や事務処理部門、ICTインフラやシステムなどを協働化する取り組みなど

● 資質の向上やキャリアアップに向けた支援

資格取得支援に加えて、マネジメントに関する研修(ユニットリーダー研修・ファーストステップ研修)の受講支援を加える

両立支援・多様な働き方の推進

有給休暇の取得目標を定めた上での声掛けや業務の属人化解消など、有給休暇を取得しやすい職場環境への具体的な取り組み

生産性向上は今後の介護人材不足を考えると喫緊の課題ではありますが、システムや介護ロボットなどの導入には事業所の負担が増える可能性もあり、職場環境等要件については令和7年度以降の見直し予定となりました。

参考:介護サービス事業における 生産性向上に資する ガイドライン 改訂版|厚生労働省

新加算への移行時期は?経過措置はある?

新加算「介護職員等処遇改善加算」の開始時期は令和6(2024)年6月で検討中です(※)。

※当面の対応として令和5年度補正予算で令和6年2月~5月の賃金改善(6,000円相当)が見込まれています。

また新加算への移行にあたっては、1年間の経過期間を設ける方向性が示されています。説明会や相談窓口の設置など、丁寧な周知に向けた案が示されているほか、令和6年度中は準備期間としてこれまでの加算率を選択できることとし、月額賃金改善要件についても適用を猶予するなどの支援が検討されています。

一本化により事務負担が軽減されて加算を取得する事業所が増えれば、より多くの介護職員などの賃金改善が見込まれます。しかし新加算への移行には事業所の賃金規程の見直しや配分方法の変更、職員や利用者への説明などの負担も生じるため、事業所にかかる事務負担に配慮した措置です。今後の動向に注目していきましょう。

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執筆:大和田陽子
看護師 / ケアマネジャー

介護保険制度開始前から介護業界で管理者や看護師として勤務。医療・福祉系の株式会社では、コンプライアンス部次長として介護および障害福祉事業の実地指導対応を担当。現在は訪問看護ステーションで管理者を務める。

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